【性同一性障害】カウンセリングから戸籍変更までの手順|完全版ロードマップ

「性同一性障害の治療の手順が分からない」
「早く戸籍変更をしたいから、スムーズに治療を進めたい」
性同一性障害の方のうち、戸籍変更まで視野に入れている方は、スムーズな治療の流れを知りたいのではないでしょうか?

そこでこの記事では、FTMで戸籍変更まで終えた私が、治療開始から戸籍変更までの流れを詳しく説明します。
この記事を読めば、戸籍変更までの道筋をイメージすることができるようになります。
それぞれの過程での詳細情報と合わせて、ご覧ください。
※この記事では「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に基づいた手順で紹介します。
ガイドラインに沿わない手順で治療を行うこともできますが、身体的な性別移行は不可逆的で慎重に行う必要があるため、基本的にガイドラインに即して治療を進めることをオススメします。

目次

カウンセリング

まずは専門医によるカウンセリングです。
カウンセリングでは「自分史」を提出して、これまでの生活歴や、性に対する生活的、社会的、精神的出来事を整理します。
自分史の詳しい書き方は、下記の記事で解説しているので参考にしてください。


そして専門医とともに、現在どのような性での生活を望んでいるのか、これから身体的治療をしても問題ないか、どのように性を移行していくか、社会的にどのように順応していくかなどを、相談していきます。
そして性別以降の方針が決まってきたところで、身体検査を行います。
ここまでの期間は、病院の先生によって大きく異なります。

じっくり時間をかけて診断していく方針の医師であれば1年以上かかることも。自分の意志が固い場合には、早く進めたくてうずうずしますが、迷いがある場合にはそのような医師と慎重にはながら進めるといいでしょう。

淡々と進めてくれる医師であれば、5回ほど通うだけでも身体検査への紹介状を書いてくれ、診断書を出してくれます。
「もう絶対に性別転換する」と強い意志があるならば、そのような医師を選びましょう。

身体検査

性同一性障害の診断書を発行するためには、身体検査を受けなければなりません。
これは「生物学的、身体的には異常がない」ということを証明するためです。

人は受精時、そして胎内で性分化が行われることで身体的な性別が決まります。
その際になんらかの異常が起き、身体的に正常な性分化が行われないことも。それが「性分化疾患」というものです。
もし「性分化疾患」であれば、性同一性障害とは別の話になります。
身体的な問題ではなく、「性同一性障害」という精神的な問題であると認定するために行うのが身体検査です。

具体的には、血液検査による染色体とホルモンの検査、内性器や外性器の触診を行います。
触診はまぁまぁ地獄ですが、治療を進めるためだと思って辛抱です。(笑)


FTMであれば「生物学的・身体的には、れっきとした女性である」、MTFであれば「生物学的・身体的には、れっきとした男性である」ということを、これにより証明します。

診断書発行

カウンセリングによって「性自認が身体的な性とは異なっており、困難を抱えていること」
身体検査により「生物学的には、現在割り当てられている性別として正常なこと、性分化疾患などがないこと」が証明されたことによって、カウンセリングを受けていた病院において、性同一性障害の診断書を発行してもらえます。

セカンドオピニオン

身体的治療に移行するためには、2名の医師による診断書が必要です。
そのため2人目の医師にセカンドオピニオンを受けに行きます。
1人目の医師に出した、自分史をまた書きます。「同じものを出してくれればいい」という医師もいれば、新しいものを書いてほしいという医師もいます。または、1人目のをちょっと要約して書いてほしいなど。
医師によって異なるため、確認をしてください。

どのような形にせよ、1人目の医師から診断書が出ている場合、セカンドオピニオンはスムーズに進むのが一般的です。
前回の身体検査結果を渡せば、再び身体検査を受ける必要はありません。

2人目の医師からの診断書をGETしたら、いよいよ身体的治療を始めることができます。

身体的治療

ホル注

現在の身体的性から望む性の身体に近づけるため、ホルモン注射を行います。
FTM:短期持続型の「エナルモンデポー」と「テスチノンデポー」、長期持続型の「ネビド」
MTF:「エストロゲン」(卵胞ホルモン)と「プロゲステン」(黄体ホルモン)

ホル注を継続することによって、肉のつき方、体毛、毛髪、声などに変化が生じます。
FTMの場合は数カ月継続すると月経も止まります。
身体への効果の現れ方には個人差が大きいです。
負の副作用も起こり得るため、定期的に血液検査などで体調を確かめながら継続をします。
また、継続をしないと元の身体的性別に近づいてきたり、体調を崩す(いわゆる「ホル切れ」)ことも。
基本的には性別転換手術後も一生涯継続するものと思っておきましょう。

ホル注を打つ頻度や1回で打つ量は、打つ種類によって異なります。
それぞれのホル注の種類や費用、特徴などは下記の記事で詳しく解説しています。

胸オペ

FTMの場合は、女性の身体の象徴的な部分とも言える胸を取る手術、通称「胸オペ」を行います。
胸オペは性別適合手術と異なり、行うための条件はそれほど厳しくありません。
ホル注を行う前に、診断書をもらったらすぐに行うこともできます。

実際にいち早く胸を取りたいということから、ホル注よりも先に胸オペを行うケースは少なくありません。
反対に元々胸があまり大きくなく、気にならないという方はホルモン治療後、性別適合手術の際に同時に行うことが多いです。

FTMにおける胸オペは、ただ胸の脂肪を取るだけではなく乳腺を切除します。
乳腺は一度とるともとには戻せないので、慎重に判断をしてください。

より男性の身体に近づけるために、乳頭の縮小手術を行うこともできます。
同時に行える病院もありますが、同時に行うと最悪の場合、乳頭が壊死してしまう可能性があるため、概ね3か月以上は開けて行うことがオススメです。

胸オペ後に、Tシャツ一枚で初めて外出した時の快感は今でも忘れられません。

性別適合手術

戸籍の性別変更まで視野に入れている場合、現状の法律上では性別適合手術を行うのが必須です。
なぜなら、戸籍の性別を変更する条件の一つとして「生殖機能を永久に欠く状態にあること」と「移行後の性別の性器と類似した外観」が必要なため。
FTMであれば子宮と卵巣を切除し、MTFであれば睾丸(精巣)と陰茎を切除しなければなりません。

性別適合手術を行うには、性別適合手術適応判定会議というもので認定される必要があります。
認定されるための条件は、下記の通りです。
・20歳以上
・2名の医師からの意見書が出ていること

意見書は、カウンセリングをして診断書を出してくれた医師に依頼をすればOK。
意見書さえ書いてもらえれば、定期的に行われている判定会議に出されます。
判定会議に本人が参加する必要は一切なく、結果がでたら通知が来ます。(いつどこで行われているのかも知らない人がほとんどです。笑)

だいたいホル注を1年以上継続して、日常的そして社会的に移行後の性で問題なく生活ができる状態であれば性別適合手術が許可されないということはありません。

戸籍の変更に必要な性別適合手術以外にも、FTMであれば陰茎形成術など、MTFであれば造膣術などさらに移行後の性の身体に近づける手術を行うこともできます。

改名

改名は、診断書をもらった後であればいつでも行うことができます。
性別適合手術前でも、ホルモン治療前でも。

改名は、住民票のある地域管轄の家庭裁判所に変更許可申請を出します。
許可が出やすいか否かは、身体的な治療の状況よりも、変更後の名前の使用実績の長さや変更後の名前で通用している生活範囲の広さが重要です。
生活において大きなウェイトを占める、学校や職場、アルバイト先で移行後の名前を使用していたり、公共料金の支払いなどで使用しているものを使用実績として提出すると許可がでやすいです。
反対に、個人的な手紙のやり取りだけ、とかだと許可が下りにくいので注意してください。

戸籍の性別変更

性別適合手術を終えたら、ついに戸籍の性別変更が可能です。
改名と同様に、住民票のある地域管轄の家庭裁判所に許可申請を出します。

戸籍変更申請には、2名の医師からの診断書が必要です。
カウンセリングを受けていた病院で、戸籍変更用の診断書を書いてもらいます。
また性別適合手術を終えると、その病院から「確かに摘出しました。移行後の性の性器と類似の外観を備えています」という旨の証明書を出してくれるので、それも併せて提出します。

裁判所に必要書類を提出すると、数日後に審判の期日に関する通知が来ます。
審判と言っても、裁判官と面談し提出した書類についての確認などを行うのみです。
審判から1~2週間後に、晴れて性別変更の通知が来ます。
住民票などは、裁判所から自治体への通知で変更が勝手に行われますが、その他免許証や保険証、クレジットカードや銀行などの変更は自分で行わなければなりません。

どちらかというと戸籍変更の手続きよりも、その後のその他の変更手続きの方が結構大変です。
「性別変更したいんですけど」って言うと「ん?」って顔する担当者もまだまだいますので……。

戸籍の変更と同時に改名を行う方もいますが、全く別の案件としてそれぞれ書類提出&面談などが必要なめ、同時に行うこともメリットはあまりありません。 

まとめ

カウンセリングから戸籍の性別変更までの流れを紹介しました。
大きくまとめると、下記の通りです。

①カウンセリングと身体検査を行い、診断書をもらう
②ホル注、胸オペ、性別適合手術などの身体的治療を行う
③戸籍の改名や性別変更を行う

進み具合は、最初にカウンセリングを受けた医師の方針や、手術を日本で行うか海外で行うか、自身の仕事などの都合によって大きく変わります。
ガイドライン通りに進めた場合には、最初のカウンセリングから戸籍変更までは1年以上はかかると思っておいてください。
また戸籍変更を終えた後もホル注や、定期的な血液検査は必要です。

今この治療の流れを調べている当事者の方の中には、早く戸籍変更をしたくて焦っている方もいるかもしれません。
ただし言っておきます。焦りは禁物です。治療は不可逆的、そして戸籍変更は人生のゴールではありません。

「戸籍変更をして自分はどんな人生を送りたいのか?」

それをじっくり考えてみてください。
そうでないと、戸籍変更を終えたときに燃え尽き症候群的な症状に陥ったり、治療代のためにバイトだけに明け暮れた結果何もスキルが残らないなんてことも。

この記事でご紹介した手順に沿って行けば、ゆっくりでも確実に治療を進めることができるので安心してゆっくり考えながら進めてもらい、戸籍変更後に幸せな人生を送れることを強く願っています。

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