MTFのホルモン治療のメリットデメリットを一挙解説

身体は男性だけど、性自認は女性であるMTF。

カウンセリングが進むと、ホルモン治療(通称「ホル注」)を始めることができます。女性の身体に近づいていく一方で、デメリットや副作用もあります。
この記事では、MTFのホルモン治療について、その効果やメリットデメリット、副作用などを一挙公開します。
※FTMのホルモン治療についてはコチラ

目次

ホルモン治療とは?

性同一性障害のホルモン治療(通称「ホル注」)とは、性ホルモンを注射によって投与することで、望む性別の身体に近づけるものです。

MTF(身体が男性で、性自認が女性)であれば、女性ホルモン、FTM(身体が女性で、性自認が男性)であれば男性ホルモンを投与します。

MTFのホルモン治療とは?

MTF・MTXの場合は、女性ホルモンを筋肉注射によって投与します。

本来、女性ホルモンは卵巣で作られているものです。
しかし、身体的には男性であるMTF・MTXには卵巣がありません。
卵巣がなければ女性ホルモンを作り出すことは不可能なため、定期的に外から女性ホルモンを投与する必要があるのです。
性別適合手術を行った後でも、継続的に行います。

ホルモン治療を行える条件は?

ホルモン治療を行える条件は?

日本の法律上では、ホルモン治療を行うための条件は特にありません。

しかし「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に年齢や医師の診断などの条件が設定されており、ほとんどの病院がそのガイドラインを遵守しています。
ガイドラインを無視して治療できる病院もありますが、オススメはしません。
そのため、この記事でもガイドラインに沿った条件を紹介します。

ホルモン治療の年齢条件

ホルモン治療を行える年齢は、原則18歳からです。

しかし2011年に改訂された「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」(第4版)内で、条件付きで15歳からホルモン治療が行えるようになっています。
これはには思春期真っ只中、または思春期以前の段階で、性同一性障害に関する悩みを持つ人が多く受診するようになった、という背景があります。二次性徴を遅らせる治療についてもガイドラインの明記されています。

18歳未満で開始する場合には相当な慎重さが求められるため、医療関係者の慎重かつ適切な判断のもと、2年以上ジェンダークリニックで経過を観察し、特に必要であると認められた場合に限定されます。

18歳以上であれば、基本的に次に紹介する書類を揃えればホルモン治療を開始できます。

ホルモン治療に必要な書類

ホルモン治療をスタートするのに必要な書類は、「専門医からの診断書」。

カウンセリングから始め、身体検査をしたうえで「性同一性障害である」「身体的治療を行っても社会的、身体的に問題がない」という旨を書いてもらいます。

また、ホルモン治療を始めるにあたって、医者から身体的変化や副作用などについての説明をきちんと受け(インフォームド・デシジョン)、「私はちゃんと説明受けましたよ。副作用も理解したうえで治療始めますよー。」と示すために、サインをします。

20歳以上であれば、これで晴れてホルモン治療がスタートです!
※よく勘違いされますが、ホルモン治療や乳房切除を行う場合には診断書は1枚で大丈夫です。2名の医者からの診断書が必要なのは、性別適合手術を行う場合です。

18歳~20歳未満の方は、さらに必要なものがあります。

親権者の同意

18歳以上であっても未成年の場合には、親権者、そう親の同意書が必要です。

そして親権者が2人、つまり両親がいる場合には2人両方から同意をもらわなければなりません。
多くの人にとって、ここが大きなハードルになります。
だから20歳になってから身体的治療に入る、という方も少なくないのです。
逆に親からの理解や支援を得られていれば、割とスムーズに治療は進みます。

同意書をもらえれば晴れてホルモン治療のスタートです!
それでは、女性ホルモン注射の種類や費用について解説します。

女性ホルモン注射の種類と費用

女性ホルモンは大きく2種類に分かれます。
エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステン(黄体ホルモン)です。
エストロゲン注射は皮膚が柔らかくきめ細やかになったり、髪が増えたりと「女性らしさ」が分かりやすく効果に出ます。

一方でプロゲステンは、妊娠に大きく関係のあるホルモンです。そのためMTFには恩恵が少ないだけでなく、むしろ身体がだるくなったりむくみやすくなったりと、嬉しくない効果の方が多いです。
そのため「ブサイクホルモン」なんて異名もついています。

しかし、エストロゲンには血栓症を引き起こす働きがあり、プロゲステンには血栓症を抑える働きがあり、一長一短。だからどちらを選ぶかは、身体検査をしながら医師と相談をして決めます。

男性ホルモン注射、女性ホルモン注射問わず、ホルモン注射は量をたくさん打てばいいというものではありません。
女性ホルモンに関しては特に、一度に大量に打つよりも、少量を1~2週間に一度ぐらいのペースで打つ方が安定をします。
医師と量とペースを相談しながら、適量を投与しましょう。

女性ホルモンは、精神的な面に大きな影響を及ぼすことが多いです。
生理前・生理中の女性がイライラしたり、暴飲暴食をしてしまうなどの話を聞いたことがある方は多いかと思います。人それぞれ症状の度合いは異なりますが、女性ホルモンを投与すると、精神面が弱くなる人が多いような気がします。(たっしーの知っている限りの感覚です。)センシティブな感じというのでしょうか…ひどい方は鬱っぽくなっちゃうなんて人にもあったことがあります。なので、特に初期のうちは、過剰摂取などには十分ご注意ください。

女性ホルモン注射の効果

性同一性障害女性ホルモン注射の効果、メリットデメリット

女性ホルモン注射を打つことによって、身体に様々な変化が生じます。
嬉しい変化ばかりではありません。
副作用もあれば、大きなリスクもあります。それを把握したうえでホルモン注射を行うか判断をしましょう。

女性ホルモン注射のメリット

・乳房の発達
乳房、つまりおっぱいが大きくなってきます。

・皮膚がきめ細やかになる
女性らしい、きめ細やかな柔らかい肌質になってきます。

・身体が丸みを帯びてくる
皮下脂肪がつき、女性らしい丸みをおびた体型になってきます。

・ひげや体毛が薄くなる
ひげや体毛が薄くなり、髪は濃くなります。

・精巣の縮小
男性ホルモンを生成する精巣が小さくなっていきます。

女性ホルモン注射のデメリット

デメリットと捉えるか、メリットと捉えるかは微妙なところのものも含めて紹介します。

・勃起不全
精巣や前立腺が委縮するため、勃起はしにくくなります。

・生殖機能の喪失
精子を作り出す機能がなくなるので、必然的に生殖機能を失います。

・性欲減退
身体が男性のときよりも、性欲がなくなります。

女性ホルモン注射の注意すべき副作用・合併症

大きな病気に繋がりかねない、特に注意すべき副作用を紹介します。
・精神疾患(うつ病)
・血栓症、高脂血症
・動脈硬化
・心不全、心筋梗塞
・肝機能障害(肝炎、肝臓がんなど)
・感染症

定期的な検査を

女性ホルモン注射による効果は嬉しいものばかりではありません。
大きなリスクも伴います。

そのため定期的に血液検査を行い、身体に異常はないか、ホルモン量は安定しているかなどをチェックしながら治療を進めましょう。

また効果にはかなり個人差があるため、他の人の状況や経験は参考程度にし、比べすぎないようにしましょう。

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