MTFの性別適合手術の術式とメリットデメリット

MTF(Male to Female)、つまり産まれたときの身体的性・戸籍上の性は男性、性自認は女性の方が、戸籍を女性に変えるための条件の1つが生殖機能の喪失です。

また、女性に類似した外観を備えることも必要条件となります。

そのためには、性別適合手術を受けなければなりません。ではどんな手術が必要なのでしょうか?
この記事では1つ1つ紹介するとともに、術式ごとのメリットデメリットを紹介します。

目次

MTFの性別適合手術とは?

戸籍の性別の変更を行うためには、生殖機能を喪失することと、移行する先の性別に類似した外観を備えることなどが条件になります。

そのためMTFの性別適合手術では、精子が出る機能をなくし、竿を取るのが必須条件です。
膣を作るのは必須条件ではありません。
それでは、1つ1つの手術についてみていきましょう。

精巣摘出術

精巣摘出術は、その名の通り精巣を取り除く治療です。
結果的に睾丸を取り除くので、睾丸摘出術とも呼ばれます。
睾丸は男性ホルモンを分泌する器官。取り除くことによって、男性ホルモンの分泌が抑えられ、女性ホルモンの投与量を減らすことができます
そして、身体的に女性らしい特徴が見られるようになるのです。
※男性ホルモンは、約5%の少量ですが副腎からも分泌されるため、完全になくなるわけではありません。定期的に女性ホルモンを投与し続ける必要はあります。

そして精子の生産が停止し、陰茎が縮小するため生殖機能は失われます。

玉袋の中心を2~3センチ程度切開するだけなので、傷口は目立ちません。

精巣摘出術の効果

精巣摘出術を行うと次のような変化が見られます。
・筋肉減少
・体毛減少
・骨盤付近に脂肪がつきやすくなる
・薄毛抑制
・乳房・乳腺の発達
・生殖機能の消滅

陰嚢摘出術

玉袋(陰嚢)を摘出する手術です。この手術は戸籍の性別変更の必須条件ではありません。
しかし睾丸を取り除くことで、中身のなくなった玉袋は、縮んでシワの寄った状態になって小さくはなるものの、伸びて垂れてくることも。
それが嫌ですっきりさせたい場合には、陰嚢摘出術を行います。

陰茎摘出術

陰茎を摘出する手術です。
これをすることによって、外観がかなり女性に寄ってきます。
亀頭部分を残して陰核形成に利用したり、陰茎尿道の一部を残して、新尿道口を形成したりと、一部の機能を残しながらいわゆる竿部分を取り除くことが可能です。
亀頭部分が残るため、性的快感を得られる陰核を残すことができます。

造膣術

女性のような膣を形成する手術です。
陰茎切除術の際に、陰茎の皮膚を膣の内張に使用する「反復法」か、大腸と直腸を繋ぐS字結腸を使用する「S字結腸法」の大きく2種類に分かれます。

基本的には、戸籍の性別変更の必須条件でもなく、膣内に性感度はなく、どちらも術後の自己管理が大変なため医者によってはあまり勧めていない場合もあります。

造膣術反復法とは?

反復法は、陰茎や陰嚢切除術と同時に行われることの多い術式です。
膣の内壁は陰茎の皮膚を反転して使用し、大陰唇・小陰唇は再癌の皮膚を使用し形成します。
術後はダイレーション(膣をシリコン製の拡張器で空洞を維持すること)を行い、ケアをしなければなりません。

反復法のメリット

反復法のメリットは大きく5つです。
①S字結腸法より安い
②身体的負担が少ない
③独特のニオイが残らない
④感度がよくなる?らしい
⑤粘液が漏れにくい

反復法のデメリット

デメリットは大きく4つです。
①アフターケア(ダイレーション)が大変
②ダイレーションを怠ると、膣がふさがりやすい
③自己浄化作用がないため、洗浄をしないと不衛生に
④元の陰茎のサイズが小さいと、奥行きが制限される

造膣術S字結腸法とは?

既に陰茎や陰嚢の切除が終わっている場合や、ホルモン治療によって陰茎が委縮していて皮膚が足りない場合には、S字結腸法を勧められます。
直腸と大腸を繋いでいるS字結腸を切り取り、膣を形成する術式です。
この術式でもダイレーションを行う必要があります。

下腹部を15センチほど切開しますが、傷跡は陰毛で隠れて目立たなくなります。
S字結腸法で造られた膣は、十分な奥行きがあるのが特徴。
そして反復法と違って、自己潤滑作用があります。

S字結腸法のメリット

S字結腸法のメリットは大きく3つあります。
①粘液が分泌されるため、洗浄作用がある。
②ダイレーションが反復法よりは楽
③膣の奥行きがある

S字結腸法のデメリット

S字結腸法のデメリットは大きく5つあります。
①比較的高い
②身体への負担が大きい
③粘液が漏れ、ナプキンが必要なことがある
④傷が残る
⑤腸を移植するので、術後しばらく独特のニオイがする

いずれの方法にしても、ダイレーションを続けないと縮小してしまうため、アフターケアは欠かせません。
どこまで、どんな術式で行うかどうか、医師と相談をしながら決めましょう。

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