性同一性障害/トランスジェンダーが描かれた日本映画・ドラマをご紹介

性同一性障害やトランスジェンダーについて学ぶには、書籍のほかにドラマや映画作品を見るという方法もあります。また当事者としては物語を見ることで共感したりし気持ちを癒やすこともできるかもしれません。

そこでこの記事では、性同一性障害やトランスジェンダーを題材にした日本のドラマや映画作品をご紹介します。

たっしー

気になったものがあれば、是非ご覧いただき、感想をシェアしていただけたら嬉しいです。

目次

東野圭吾原作『片想い』

かつてアメフト部の女子マネージャーだった美月(中谷美紀)は「人を殺した」「性同一性障害である」ことを、かつての部員たちに告白します。
美月に何が起こったのか、果たして本当に美月が人を殺したのか。
ジェンダー×ミステリーという東野圭吾ならではの世界観で描かれた作品です。

※以下ネタバレを含みます。

この作品には、性同一性障害をめぐる様々な課題が盛り込まれています。
・戸籍変更
・子供
・恋愛などなど...。

特に戸籍変更の条件が元となり、この物語のミステリーは構成されています。
一度、戸籍や身体の姓を受け入れて生きていこうと決意し、子供を作ると、性同一性障害の戸籍変更要件から外れてしまうので、戸籍変更は出来なくなります。
また現状の戸籍変更要件では、性別適合手術が必須となり、身体的な問題や金銭的な問題で手術が出来ない人は戸籍変更が出来ないんですね。
こういった事情がある人たちが、戸籍交換という闇の方法を使っているのが、この作品もキーとなります。

またIS(性分化疾患)の人物も登場します。
彼女は女性として育ち、自身も女性として自認して生活していますが、染色体が男性。
陸上で「女子」の日本記録を保持していますが、その身体の問題から「女性として競技に出るのはどうなのか」と問題になってしまいます。
このジェンダー×スポーツの関係は、以前オリンピックなどでも問題になりましたね。

ホル注が途絶えてしまい、生理が来てしまい絶望するシーンや、好きな人から女性扱いされるシーンなどFTMとして辛いシーンも多数登場し、当事者の現実を知れる作品です。

さすが東野圭吾さん作品。
途中からは純粋にミステリー作品として、推理しながら楽しむことができました。

だから正直ジェンダーのことについて関心がない人でも楽しむことが出来ると思います。

生田斗真主演『彼らが本気で編むときは、』

育児放棄をされた小学5年生のトモは叔父マキオの家に同居することに。
そこにいたのがマキオの恋人であるリンコ。リンコは戸籍は男性、性自認は女性で身体は手術が終わっている状態です。
始めは戸惑うトモでしたが、母親以上の愛情を注いでくれるリンコにだんだんと心を開いていきます。



※以下ネタバレを含みます。

この物語で一番勘当したのが、リンコのお母さん。
学生時代に「おっぱいがほしい」と泣いたリンコに対して「そうだよね、りんちゃん女の子だもんね」と抱きしめます。
もっといいなぁと思ったのは、現在のパートナー、マキオ、リンコ、トモの5人でご飯を食べているときのリンコとお母さんの会話。
なんというか普通の母親と娘の会話なんですよね。ごく自然にリンコをリンコとして受け入れているのが分かってすごく心が温かくなりました。

「普通は普通、異常でないことよ」というセリフや、病院の検査入院でリンコが男性の大部屋にいれられてしまう、トモが結局母親のもとにもどってしまうなど、切ないシーンも山ほどありますが、性同一性障害、同性愛などについて考える機会になる映画です。

不朽の名作「3年B組金八先生第6シリーズ」

言わずもしれた名作、「3年B組金八先生」の第6シリーズ、上戸彩が性同一性障害の役を演じたことで有名です。

放送された当時はまだ、LGBTや性同一性障害という言葉はあまり世間に認知されておらず、衝撃を与えました。
上戸彩が演じる「直」の父親が、直の胸を鷲掴みにするシーン、その後直が自分自身の喉にフォークを突き刺すシーン。
かなり心苦しくなりました。

おそらく世間に「性同一性障害」、そして上戸彩を広く知らしめたもっとも影響力のあった作品です。
なかなか再放送をしないシリーズなので、DVDなどをレンタルするのがいいかと思います。

『ハイヒール革命!』

実際に男性として産まれて、女性の身体に性転換した方の人生のドキュメンタリー+ドラマ形式で進んでいく作品です。家族に支えられながら手術を決意しますが、困難は数多く待ち受けます。

そうなんですよね。手術=ゴールじゃないんです。
むしろスタートだったりする、そこからも乗り越えなければならないことがたくさんあります。
ドキュメンタリー要素もあるので、興味深く見続けられます。

草彅剛主演『ミッドナイトスワン』

草彅剛演じるナギサはホル注を受け始めて1年、広島の実家にはトランスジェンダーであることを全く伝えずに東京で暮らしています。

そこに田舎から母親に問題がある親戚の子を預かってほしいとの連絡。その子がイチカです。

最初は「子供は嫌いよ」「田舎に余計なこと言ったら殺すから」とイチカに冷たく当たるナギサ。
しかしイチカの境遇に触れ、そして互いの孤独を埋め合うようにだんだんと母性が芽生えてきます。
そしてイチカの「母」として生きようと決意。
その後のイチカとナギサの運命は……。

※以下ネタバレを含みます。

この映画は心がきゅっとなるシーンがとても多かったです。

結末も正直悲しかったです。
監督がこの映画を作るにあたって、たくさんの当事者に話を聞き「安易にハッピーエンドにしていいものではない」と思ったそうです。こうした現実をありありと表現してくれていた映画でした。これは当事者以外の方に是非見ていただきたいです。

夜に家に帰り「なんで私だけ…。こんな身体で…。」と涙を流すシーン。自分も何度も何度も思ったことでした。

性転換手術をして実家にイチカを迎えに行ったナギサに対して母親が「お願いナギサ、病院に行って治して」と泣きながら懇願するシーン。母としては受け入れるのが難しかったのでしょう。ここも最初は母親に受け入れられなかった経験が重なり、胸がギュッとなりました。

イチカをバレエ教室に通わせるためにナギサは就職先を探すのですが、企業の担当者に「最近流行ってますよね、LGBT。私も研修とか受けて……」と言われます。「流行ってますよね」ってねぇ……。すごくリアルです。そして結局男性として就職先を見つけるんです。
それに対して複雑な心境になったイチカ。「頼んでない!」と怒りながらも、実の母からは受けたことのない愛情を感じ、ぎゅっと抱きしめます。

またこの映画では、明確にはされていませんが、性別適合手術のリスクについても触れられています。
イチカが学校を卒業してナギサのもとに向かうと、ナギサは病気になっていました。病名や原因は明確にされていませんが、シーンの様子から性別適合手術の後遺症である可能性がうかがえます。そういったことに触れていた作品は他にありませんでした。

こんなに感情移入したのは物語だけでなく、草彅剛さんがうますぎるのもありますね。
バレエの先生から「おかあさん」と言われたときの、気恥ずかしいような嬉しいような何とも言えない表情はすごいです。

当事者のリアルな心情、悩み、状況を描き出されているこの作品、当事者以外の方に是非見ていただきたいと思います。

まとめ

性同一性障害がテーマになったドラマや映画作品をご紹介しました。

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