家族、職場へのカミングアウトを考えている方。
カミングアウトしようかしまいか迷っている方。
どのようにカミングアウトするべきかが分からない方。
今すんごく迷っていると思います。
この記事では、本当にカミングアウトをするべきかどうかの判断材料になるメリットデメリットや、カミングアウトの方法などを紹介します。
カミングアウトは本当に必要?
カミングアウトをしようと考えたときに、そもそもカミングアウトが必要かどうか?を考えてみましょう。
特に治療済み、かつ戸籍変更済みで移行後の性別として、周りからは何の違和感もなく生活している場合、わざわざいう必要があるのかどうか。
「カミングアウトしなければならない」という概念はまず捨てましょう。
次にあげるカミングアウトのメリットデメリットを鑑みて考えてみてください。
僕はわりと言っちゃうほうですが……(笑)
カミングアウトのメリット
より相手と親しい関係になれる
自分の秘密を打ち明けて、本当の自分をオープンにすることによって、相手とより緊密な浸しい関係になることができることも。
いわゆる「なんでも話せる関係」楽ですよね。
自分らしさを全うできる
本当の自分を隠すことなく、オープンにすることで自分らしく生きやすくなります。
ストレスが軽減される
隠していることのストレス、隠しているからこそ受けやすくなるマイクロアグレッション。
そのようなストレスが軽減されます。
身体的治療をしやすくなる
特に身体的治療前でこれから治療を考えているトランスジェンダーであれば、先に言っておいた方がメリットが大きいです。
身体的に性別が移行していく過程で、声色や体格が変わります。
そのたびに「どうしたの?」と聞かれたり、変に噂を流されるぐらいなら、先に言った方が楽です。
僕がカミングアウトした時には「田代は田代だよ」とほとんどの人が受け入れてくれました。周りの人にとっても恵まれていたのです。
それから自分らしく生きられるようになりました。
ただ、受け入れてくれる人ばかりが周りにいるわけではありません。
次のようなデメリットが生じる可能性もあることは、自分を守るためにも認識はしておきましょう。
カミングアウトのデメリット
受け入れられない人もいる
全ての人が、受け入れるわけではないことは覚悟しておかなければなりません。
どうしても理解できない人や、受け入れられない人もいます。
その人が遠ざかる可能性もゼロではありません。
その人がいい人か悪い人か、という話ではありません。
時代や環境によって価値観は違うもの。どうしても受け入れられないことで相手を責めてはいけません。
相手が混乱してしまうかも
理解したい、受け入れたいと思っていても、どのように接したらいいのか、どのように答えたらいいのか混乱させてしまうこともあります。
アウティングの可能性
悪気のあるなしに関わらず、打ち明けた相手が、自分が望まない相手にも話してしまう可能性もあります。
どうしても「その人だけ」にカミングアウトするときは、その人が絶対に口外しないと信じられる人なのかは見極める必要があります。
そして「絶対に誰にも言わないでほしい」と明確に伝えましょう。
カミングアウトする前に心の準備を
必要に迫られてカミングアウトをしなければならない、また上記のメリットデメリットを鑑みて「よし、カミングアウトをしよう」となったら、次はカミングアウトの方法を決めましょう。
がっちりスクリプトなどを作る必要はありませんが、事前に心の準備はしておくことをおすすめします。
言い方はカミングアウトする相手、目的によって変わってくると思います。
言うべきことや、言いたいこと、言いたい理由を自分で書き出してみましょう。
不安があれば、まずは専門の相談窓口に電話をして話すことで、自分の気持を整理することもできます。
シチュエーション別カミングアウト例
ここでは、シチュエーション別にカミングアウトする方法例を紹介します。
あくまでも例なので参考程度に。
相手との関係性や、自分のキャラクターを考慮してどうすべきかを決めましょう。
学校の先生へのカミングアウト
学校の先生にカミングアウトする場合は、治療前で学校生活で精神的苦痛を抱えているというケースが多いでしょう。
まずはどの先生にカミングアウトをするべきかを決めます。
自分が一番信用できる、話しやすいと思った先生でいいかと思います。
もし誰に言ったらいいか分からない時は、まず保健室の先生(養護教諭)に話してみるといいかもしれません。
全ての保健室の先生がそうではありませんが、養護教諭向けのLGBT研修などもあり児童・学生心理については専門的に学んでいる可能性が高いです。
実質的に何か困りごとを解消してくれるわけではありませんが、精神的に支え、必要であれば然るべき先生に伝えてくれたり一緒に話をしてくれるかもしれません。
またはスクールカウンセラーのもとに話に行くというのもいいでしょう。スクールカウンセラーであれば、資格を持っていることがほとんどなので、カミングアウトに関すること以外にもさまざま相談に乗ってくれます。
話を切り出す際には、個別で話したいという旨を伝えてみます。
学校の先生などは、このような事案以外にも個別に生徒と話す必要があるため、そういった対応には慣れているはずです。
そして、相談したことを他の先生や他の生徒に話してほしくない場合には「絶対に他の人には言わないでほしい」としっかり伝えたうえで話始めましょう。
実際に困りごとがあって解決してほしいという場合でも、先生は誰とは言わず「こういった生徒からの声があった」と匿名にしたうえで、他の先生や権限がある人に話すこともできるので、その点も心配する必要がありません。
家族へのカミングアウト
家族へのカミングアウトには、かなり慎重にならなければいけません。
まずは、家族がLGBTに対してどのような意識を持っているかを日ごろの言動などから見極めておきましょう。
もし家族が受け入れてくれなかった場合には、精神的なダメージの他、経済的にも援助が受けられなくなったりする可能性も0ではありません。
そのため、家族以外の居場所を確保したうえでのカミングアウトをおすすめします。
また他の家庭的な問題のない、比較的穏やかな時を選びましょう。
職場の人へのカミングアウト
職場で関わる人へのカミングアウトの際には、まず会社内に専門的な相談先があるかどうかを調べて、そちらに先に相談しましょう。
もしそのような場所がなければ、自分で信頼できそうな上司や先輩、同僚へカミングアウトして、実際の困りごとを相談しましょう。
空いている会議室などで話すか、ランチまたは飲みに誘って外で話すといいでしょう。
この時にも「絶対に周りには話さないでほしい」ということはしっかりと伝えます。
また性別適合手術のために長期の休暇が必要な場合には、トランスジェンダーに限ったことではありませんが職務上の配慮や責任は果たさなければいけません。
正直に事情を話して、休暇の申請をし、休暇中の職務に支障がないように準備を整えましょう。
友達へのカミングアウト
友達へのカミングアウトの際にはアウティングの可能性に十分に注意しなければいけません。
本当に信頼できる人なのかを見極めると同時に「自分は誰には話していて、誰には話していない」ということは、明確に伝えておき「話していない人には、絶対に話さないでほしい」と念を押しましょう。
カミングアウトされる側への配慮も必要
どのシチュエーションにおいても、「話す目的」「話す内容」を明確にします。
そして他の人に知られたくない場合にはそれを明確に伝えましょう。
また、カミングアウトをされた側にも少なからず混乱が生じることは理解して、配慮する必要があります。
「びっくりさせてしまうかもしれないけど……」「聞きたいことがあれば、聞いてほしい。答えられないことは正直にそう言うから」など相手への配慮の言葉も忘れずに。
カミングアウトしなくてもいい
繰り返しになりますが、特に治療済みのトランスジェンダーなどで、カミングアウトの必要性がないのであれば無理に話す必要もありません。
「みんなが気軽にカミングアウトできて、それをみんなが受け入れる社会が正しい」というつもりもありません。
「自分らしくあるためにカミングアウトをしていこう!」というのは無責任です。
家族へカミングアウトせずに、自分の力で乗り越えていく。
職場では絶対カミングアウトせずに私生活だけは本当の自分を楽しむ。
そんな選択肢だってアリだと思います。
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