子供が性同一性障害かも?サインに気付いた時の接し方

「自分の子供がスカートを嫌がる」
「男の子で産まれたのにピンクの服ばかり選ぶ」
「自分の身体を極端に隠そうとする」


など、自分の子供が自分の身体の性とは反対の言動をしたり、服装を好む様子、自分の身体を嫌がる様子を見て「もしかしたら性同一性障害なのかも?」と思うことがあるかもしれません。
そのようなとき、親としてはどのような対応をとったらいいのでしょうか?

この記事では、子供が性同一性障害かも?と思ったり子供がサインを出してきたときの対処法を紹介します。

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目次

「スカートを嫌がる」=性同一性障害?

「女の子に産まれたのにスカートを嫌がる」
「男の子に産まれたのにお母さんのようにメイクをしたがる」
さて、このような徴候が見られるということで性同一性障害の可能性はどれぐらいあるのでしょうか。

国内外の様々な医者の研究によると、思春期以前に身体的性別とは反対の行動や服装を好んだり、性別違和を訴えた子供が、成人してからも性別移行を必要とする割合は数パーセントにすぎないとされています。

つまり思春期以前の場合、身体的性別とは反対の言動をしたり、服装を好んだり、自分の身体的性別に対して違和感があるような発言をしたとしても、性同一性障害と決めつけるのは、時期尚早です。

幼少期は、まだ性別という概念をしっかり理解していません。
自分の他社との違いを「性別」という概念で説明できるまでには、まだまだ発達が必要な段階です。
きょうだい関係や、周りの環境が「男の子っぽい」言動や「女の子っぽい」言動にも影響します。
たとえば身体的に女の子でも、男兄弟しかおらず周りに男の子が多い場合には影響されて荒っぽい言動になるようなことは往々にしてあることです。

そのため、親として慌てて行動を起こす必要はありません。

【年代別】子供のサインに気付いた時の対処法

【年代別】子供のサインに気付いた時の対処法

とはいえ親として、もし子供がサインを出してきたときにいつでも手を差し伸べられるよう、対処法を考えておくべきです。
ここでは年代別に子供のサインに対する対処法を紹介します。

幼少期

繰り返しになりますが、幼少期の言動によって性同一性障害かもしれないと判断するのは、時期尚早です。
身体的性別の言動に無理やり矯正させようとしたり、逆に、反対の性別で生きやすいように先回りするのはやめましょう。

基本的には、子供のしたいようにさせてあげるようにします。
たとえば身体的性別が男の子で「スカートをはきたい」「メイクをしたい」などという時も、受け入れます。
しかし周囲から冷たい目を向けられて子供が傷付く可能性もあります。
その点は親として代替案を提案したり、家の中だけで好きな格好をさせてあげるというのことも大切です。

反対に「男の子なんだからだめ!」「女の子らしくしなさい!」などと子供を否定するのはやめてください。
幼少期に親が味方になってくれなかった経験は大きくなった時の関係性に大きく影響します。
仮に成長した時に、性別のことで悩んだとしても親には相談できなくなる可能性も高くなるのです。

だからまずはなにより気持ちを受け入れてあげてください。

小学校低学年

小学校に入ると、男女で分けられることが多くなり、だんだんと男女の違いがはっきりしてきます。
男同士、女同士で集まるようになるのも、小学生ぐらいからです。

そのため性別に関する違和感を覚え始める子も少なからずいます。
またトイレや宿泊学習などで具体的に、困難が生じ始める可能性も。
しかし小学生の段階でも、まだ性同一性障害だと思い、先回りして行動をするのは時期尚早です。

基本的には幼少期と同様に、本人の希望を受け入れつつ、周りから傷つけられることがないよう、目を配ります
身体的男の子が、スカートをはきたがる場合は、家の中では履かせてあげるなどです。

なんだかんだ言ってもスカートをはいて学校にいくと、まだまだからかいや好奇の目にさらされてしまうのが現実です。そこからいじめなどに発展する可能性があることも考え、代替案を提案してあげるなどの対処を取りましょう。

小学校高学年

小学校高学年となると、いよいよ身体的、心理的な男女の差が開いてきます。
二次性徴を迎える子もちらほらでてきます。

そして学校の授業でも少しずつ性について触れる機会が出てくるのもこの時期です。
さらにこれまでのように親にすべてを話さず、隠し事をするようにも。

性別に関して違和感を覚えていたり、それによって学校生活で困りごとが起きていても、率直に親に言えなくなくなり、一人で抱え込んでしまうかもしれません。

その時には無理やりに聞き出そうとせずに、子供が言いやすい環境を整えるようにしましょう。
たとえば他のことでも会話をたくさんするように心がける、またはLGBTに関する情報に触れてポジティブな態度をとっていることを見せる、などです。

またもし本人から相談を受けた場合には、受け止めて、どうしたら生活しやすくなるかを一緒に考えます。
内容によっては、専門的な窓口へ相談したり、学校の先生などへ相談することをおすすめします。

中高生

中高生になると、性別違和を抱える子にとって大きな壁となるのが「制服」です。
制服を頑なに嫌がったりする場合でも、性同一性障害と決めつけるのは早いですが、その可能性もあることは認識しておきましょう。
それによって学校に通えないという状況が生じる場合には、学校に相談をしてジャージでの登校などを認めてもらえないかを相談するのも1つです。

また中高生ではほとんどが二次性徴を迎えます。
男女の身体的差は大きくなっていきます。身体的に男性なら、声が低くなったりひげが濃くなったり。身体的女性であれば初潮を迎えたり胸が膨らんできたり。
社会的にも、男性的役割・女性的役割を周りが求めるようになります。
性別違和を抱えているとしたら、身体的変化と周りから求められる性別的役割に対する精神的苦痛は、かなり大きなものです。

まず親としては引き続き、子供が相談しやすい環境を整えましょう。
この時期は多感なので、変に親からアクションを起こすと逆に拒絶する可能性もあります。

そのため自ら死を選んでしまいそうになっているなど緊急性が高くない場合には見守るようにします。

もし学校のトイレや更衣室のことで困っていると子供が打ち明けてくれた時には、本人の希望を聞いたうえで学校に相談をしましょう。

1つ注意をしなければならないことがあります。
現代は、インターネットで検索すればだいたいの情報が出てきます。
子供みずから検索して「自分は性同一性障害かもしれない」と知り、その情報を収集、治療についても調べたりすることは想像に難くありません。

そうすると、身体的治療をすることだけがゴールになってしまい、他のことが見えなくなる場合も。
しかし身体的治療は基本的に不可逆的なものです。
身体的治療に伴う、身体的・社会的リスクもきちんと伝えて、その子がどのように生きていきたいのかを、しっかりと話し合う必要があります。

大事なのは、見守り・受入れ・リスクヘッジ

大事なのは、見守り・受入れ・リスクヘッジ

年代別の対処法を紹介しましたが、共通する大切なことは3つです。

1つ目は、なにか子供が、身体的性別と反対の言動や服装を好んだり、性別違和を感じている様子があっても、無理に矯正したり聞き出そうとしたりせずに見守ることです。
また、思春期までは性同一性障害かどうかを判断するのは時期尚早。先回りして行動を起こすのはかえって子供の選択肢を減らすことになりかねないので、やめましょう。
もし心配なことがあるのならば、専門的な窓口に相談するだけにとどめておきます。

具体的に困りごとが生じてくる小学生以降は、普段から困ったことがあった時に話しやすいような環境づくりをしておくことでが大切です。

2つ目は子供から「こうしたい」という希望があったら、まずは受入れることです。
幼少期であれば、親が受け入れてくれた経験はとっても重要です。
思春期であれば親に打ち明けることは、とても勇気がいることかもしれません。
「よく話してくれたね。」「言いにくかったでしょう。ありがとう」とまずは受け入れましょう。

3つ目はリスクヘッジです。
例えば身体的に男の子供がスカートをはいて学校に行きたいと言った場合。
理想を言えば、男女の垣根なくファッションを楽しむことが自然な世の中になってほしいですが、現状の日本ではまだまだそうとは言えません。

残念ながら好奇な目で見られてしまったり、からかいやいじめに発展してしまうこともあるのです。
子供が「こうしたい」と思ったことを叶えた結果、反対に傷付いてしまうことになりかねません。

そのため幼少期であれば、家の中だけで着させてあげるとか、中性的な洋服を用意してあげるなどの対応が好ましいです。
中高生以降であれば、そのようなリスクがあることを話したうえで、どんな解決策があるかを一緒に話してみましょう。

男/女だけで解決しようとしない

男/女だけで解決しようとしない

よく身体的に女の子だが、性別違和を抱えていることを打ち明けられた場合に「じゃあ学ランで登校できるように相談しよう」とか、
身体的に男の子で、性別違和を抱えている場合に「じゃあ女性更衣室を使えるようにしてもらおう」などの対処をとろうとしがちです。

もちろん本人が困っているのに何もしないよりはいいかもしれませんが、上記の対応は男/女の枠でしか考えられていない安易な対応と言わざるを得ません。

本人の希望を無視して上記の対応をとった場合、もしかしたら本人は周りに「どうして?」と聞かれたり、変に勘繰られたり噂になってしまう可能性があることも認識しておきましょう。
必ず本人の希望を聞いたうえで、とりうる対応をとることが大切です。

また「性別違和を抱えている=反対の性別で生きたい」ではないことを認識しておかなければいけません。
もちろん、気持ちが変化して「反対の性別で生きたい」となる可能性もあります。
ただ明確にその意志が分かるまでは、第三の道を用意してあげるのが重要です。

たとえば制服ではなくジャージでの登校、男女兼用のトイレや、個室の更衣室の使用について相談するなどです。男女どちら、またはそれ以外の性としても生きやすくなるような環境を整えておいてあげましょう。

1人で悩まず専門機関へ

1人で悩まず専門機関へ

「子供が性同一性障害かもしれない」
「この言動は気にしなくてもいもの??」
「悩んでいるのは明らかなのに打ち明けてくれない。自傷行為などをするかもしれない」
など、親としてどうしたらいいのか悩んでいるのは場合には、抱え込まずに専門機関へ相談しましょう。抱え込むと不安が先行し、問いただしてしまったりと、子供が望まない対応を先回りしてしまいかねません。
いくつか相談先となる場所を紹介します。

・児童相談所や市区町村が管轄する、子供に関する相談窓口
⇒「市区町村名 性同一性障害 子供」などと検索すると専門の窓口がある自治体もあります。
また専門的に窓口を設けていなくても、子供に関する相談窓口であれば話を聞いて、適切な相談先を紹介してくれるかもしれません。

・民間の相談先
民間の相談先として「社団法人gid. jp日本性同一性障害と共に生きる人々の 会」や「NPO法人性同一性障害支援機構よりそいホットライン」などがあります。専門的な知識を持った相談員が対応してくれます。



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